インプラントとトラブル
インプラントとトラブル
内科、外科などの他の医療と同様にインプラント治療の際にもトラブルがおこる可能性があります。インプラント治療時のトラブルは大きくわけて3つにわけることができます。
3つのインプラントのトラブル
1 インプラントを顎の骨の中にいれる時におきる可能性があるトラブル
2 インプラントの人工歯 に関するトラブル
3 安定期に起きるトラブル
1 インプラントを顎の骨の中にいれるときにおきる可能性があるトラブル
a)インプラント埋入時に切削器具が動脈に接触して大量の出血をする。
現在まで、日本において、インプラント埋入時における死亡事故が1例報告されています。
動脈からの出血による死亡です。何百万本の中の1本が原因となった事故ですが、確率的にはかなり低いですが見過ごすことはできない出来事です。詳細を分析すると、確率の問題以前に防ぐことができたた事故でもあります裁判の判決でも指摘されたとおり、適切に対処すれば、何ともなかった事故でありましたので、そういう面では残念なかぎりです。この事故と事故を引き起こした歯科医をよく知る大学のインプラント科の教授の見解によると、インプラント治療に真摯にとりくむ姿勢があれば、こういう事故は起こりえないということです。
b) 神経麻痺
稀なことではありますが、切削器具やインプラントが大きな神経に接触して 神経麻痺(しびれた感覚)をおこすことがあります。現在では、歯科用CTの普及により、かなり防ぐことができます。起こるのは下顎の奥歯の治療のときです。治療は 原因を取り除き 星状神経節ブロックなどをおこないます。
c)上顎洞にインプラントが迷入してしまう。
残存している骨の高さが低く 上顎洞が大きいと、そこに骨とくっついていない埋入直後、インプラントが迷入することがあります。その場合 インプラントを取り除き 再埋入する必要があります。d)埋入部位に感染する インプラントを埋入したところに、感染が起こる場合があります。その場合適切な抗生物質の内服と抗生物質の溶液を感染部に洗浄することにより9割かた 回復します。
e)何等かの理由によりインプラントが骨とくっつかないことがあります。
この場合インプラントをもう一度骨のなかにねじ込むと骨とインプラントがくっつく反応がはじまることが多くの場合でおきます。こればインプラントの製品間格差がおおきく、ちゃんとしたインプラントでないとうまくいきません。
2 インプラントの人工歯に関するトラブル
a 人工歯がはずれる
人工歯がはずれることがあります。これは、インプラントと人工歯は 大抵の場合 仮着セメントでくっつけてあるためです。頻繁にはずれるようであれば セメントをはずれにくいものにかえる必要があります。また セメントでなく、スクリューで人工歯をインプラントに固定する方法もあります。
b ほっぺたや舌をかむ
人工歯の位置や咬み合せによりおこることがあります。調整すればなおります。
3 安定期におこるトラブル
a インプラント周囲炎
原因は細菌感染と咬み合せです。定期的なメンテナンスが必要です。それにより ほとんどの場合ぶせぐことができます。かみ合わせは、日々 微妙にかわります。それを調整することが必要です。細菌感染に関しては 抗生物質の溶液による洗浄でなおることがほとんどです。
b 人工歯の破損
人工物は 長い目でみれば いつかかならずこわれます。橋や道路などのインフラもかならずいつかは壊れるのとおなじです。それば いつ壊れるかが問題となります。かみ合わせや はぎしりのつよい人は壊れやすいです。